「はくしゅ」147:道徳 オリンピック選手から学ぶ

「野田選手」の語り
 
 野田選手はあきらめませんでした。
 足の痛みをこらえて、レースを続けます。右ひざもひねり、棄権することもできたはずですが。
 必死に約10メートルを上り、再スタートしました。再びコースから外れかけましたが、なんとかゴールまで滑り降りました。
 日本の大会ではしばしば見かける光景(こうけい)だそうです。オリンピックのようなレベルの高い大会では、そこまで失敗したらあきらめてしまうのが普通です。特に、モーグル競技は、急な角度を滑り降りるので、難しいことなのです。
 オリンピックにかける、勝負を捨てない日本選手の姿が、アメリカの大観衆(かんしゅう)の心を打ったのです。
 
 野田選手は、途中で投げ出せば、成績も何も残らない、それに応援してくれた人に申し訳ないと思ったのだそうです。最後まですべり終え、ゴールした野田選手を、大観衆の割れるような大きな拍手が迎えました。
 外国の新聞社も、野田の行動を、
「金メダルだけが偉大な瞬間(しゅんかん)ではない」
とほめたたえ、世界中に紹介(しょうかい)しました。
 
レース後のインタビューです。
「五輪は温かい感じがする。
 今回は失敗したこともあるし、もう一度出られるものなら出たい」
と、野田選手は笑顔で答えていました。
 
 「金メダルだけが偉大な瞬間ではない」・・・いい言葉ですね。